肌の水分量を上げるには?
保湿の基本・水分計の見方・美容医療との付き合い方
「保湿しているのに乾く」「肌水分量の数値が低い」「皮脂はあるのにつっぱる」。数値だけに振り回されず、うるおいを保つ方法を考えます。
肌の水分量を考えるときは、「水を足すこと」と「逃がしにくくすること」を分けましょう。
化粧水を重ねたり、水をたくさん飲んだりするだけで、乾燥の原因をすべて解決できるわけではありません。洗いすぎや刺激を減らし、肌に合う保湿剤を使い、かゆみや皮膚炎があれば診察で確認することが大切です。
また、家庭用水分計の表示と研究用機器の数値は、同じ尺度とは限りません。一つの数値だけで「肌が健康」「治療が必要」と判断しないようにしましょう。[1][3]
1. 肌の水分量とは?皮脂の量とは別の指標です
スキンケアでいう「肌の水分量」は、多くの場合、皮膚の最も外側にある角層のうるおいを指します。肌の表面にある油分や、体全体の水分量と同じ意味ではありません。
そのため、皮脂によるテカリがあっても、つっぱりや乾燥を感じることがあります。「脂っぽいから保湿は一切不要」と決めつけず、部位ごとの状態を確認しましょう。[2]
角層の水分
肌の表面に近い部分のうるおいです。水分を保持する成分や、肌のバリア機能と関係します。
皮脂・油分
皮脂腺から分泌される油分や、化粧品によって補われる油分です。水分量とは別に考えます。
経皮水分蒸散量は「逃げる水分」の指標
研究で使われるTEWL(経皮水分蒸散量)は、皮膚から失われる水分を評価する指標です。角層にどれくらい水分があるかを測る指標とは異なります。
「TEWLが減った」という研究結果を、そのまま「肌の水分量が同じ割合で増えた」と言い換えることはできません。[6]
2. 肌の水分量の理想は何%?測定値の見方
「理想は○%」という数字を見かけても、機器や測定条件を確認せずに比較することはできません。研究用のCorneometerは、一般に任意単位で角層の状態を評価する機器であり、表示値をそのまま皮膚に含まれる水の重量割合とみなすものではありません。[3]
比較するなら、機器・部位・条件をそろえる
家庭用機器は、その機種の説明書に従って使用してください。頬と額、洗顔直後と日中、保湿直後と塗布前など、条件が違う数値を単純に比べないことが大切です。
同じ機器、同じ部位、なるべく近い室内環境とタイミングで記録し、乾燥感や赤み、粉ふきなどの症状と合わせて見ると、日常ケアを振り返りやすくなります。
保湿直後の高い数字だけで、肌の状態が改善したとは判断できません。
測定値の一時的な変化と、日中のつっぱりの軽減、皮膚炎の改善、刺激への反応は、それぞれ別に確認する必要があります。数字を上げるためだけに、過剰な塗布や施術を続けないようにしましょう。
3. 肌の水分が保ちにくくなる原因
洗いすぎ・熱いお湯・摩擦
熱いお湯、長時間の入浴、洗浄力や回数が肌に合っていない洗顔、タオルでの強い摩擦などは、乾燥を悪化させる場合があります。清潔にすることと、必要以上に落とすことは分けて考えましょう。[1]
季節や室内環境、保湿方法の不一致
空気が乾燥する時期は、同じスキンケアでもつっぱりを感じることがあります。夏に使いやすかった軽い製品だけでは、冬の頬の乾燥に対応しにくい場合もあります。
顔全体を一律に変えるのではなく、乾く部分に保湿を補う、使用感に合わせて剤形を変えるなどの調整を検討します。[2]
化粧品の刺激や、治療中の皮膚の変化
角質ケア、レチノール化粧品、ニキビ治療薬などを使っている場合は、使用に伴う乾燥や刺激が関係することもあります。処方薬は自己判断で中止せず、保湿の追加や使用方法について処方医に相談してください。
赤み、かゆみ、ひび割れがある場合は、単に水分が足りないのではなく、湿疹やかぶれなどの確認が必要です。[1]
4. 肌の水分量を上げたいときのスキンケア
保湿剤は「成分名」と「製品全体」の両方で考える
保湿には、水分を保持する成分、肌を滑らかに整える成分、水分の蒸発を抑える成分などが関わります。ヒアルロン酸やセラミドという名前があるだけで、すべての製品が同じ使用感・保湿力になるわけではありません。[2]
| 考え方 | 成分・剤形の例 | 選ぶ際のポイント |
|---|---|---|
| 水分を保持する | グリセリン、ヒアルロン酸など | 配合濃度だけでなく、刺激や使用感を確認します。 |
| 肌を整え、保湿を支える | セラミドを含む乳液・クリームなど | 一つの成分ではなく製品全体の処方で考えます。 |
| 水分を逃がしにくくする | 油分を含むクリーム、ワセリンなど | 乾燥する範囲や、べたつきへの許容度に合わせます。 |
朝は保湿と紫外線対策、夜は落としすぎないケア
朝は、肌状態に合う洗顔後に保湿し、日焼け止めなどの紫外線対策を行います。夜は、メイクや日焼け止めに合った方法で落とし、肌が乾燥しきる前に保湿剤を塗布しましょう。
洗顔後に化粧水を何回も重ねることより、洗浄の刺激と、その後の保湿剤が肌に合っているかを見直すほうが重要な場合があります。[1][2]
皮脂が多い部分と乾く部分で調整する
額や鼻はべたつき、頬や口周りは乾く場合は、軽い保湿剤を基本に、乾く部分だけクリームを補うなどの方法が考えられます。ニキビができやすい方は、ノンコメドジェニック表示も選択の参考になりますが、すべての方にニキビができない保証ではありません。
粉ふきを無理に落とさない
乾燥で皮が浮いているときにスクラブやピーリングを追加すると、刺激が重なる場合があります。「ざらつくから角質を取る」と決めつけず、まずは保湿と炎症の有無を確認してください。[2]
5. 水をたくさん飲めば、肌の水分量は上がる?
脱水を避け、体に必要な水分をとることは大切です。ただし、「今より大量に飲めば乾燥肌が改善する」とは限りません。
健康な女性49名を対象にした2015年の研究では、水分摂取を増やした後の皮膚の水分状態などに変化が報告されました。しかし、対象が限られた短期間の研究であり、すべての人に同じ追加量が必要と示したものではありません。[5]
水を飲むことは、肌表面の保湿や湿疹の治療の代わりにはなりません。食事や活動量、気候などに合わせて水分をとり、乾燥が続く場合はスキンケアや皮膚疾患の確認も行いましょう。
心臓・腎臓の病気などで水分摂取について指示を受けている方は、主治医の指示を優先し、自己判断で大量の飲水を行わないでください。
6. 保湿と超音波の研究から分かること
保湿剤の研究:30名の比較試験
2020年の試験では、乾燥した下腿の皮膚を対象に、特定の保湿剤を塗布した後の角層水分を測定しました。一部の製品では、1回の塗布後24時間まで、未塗布部位と比べた水分指標の上昇が報告されています。[4]
限界:30名の下腿を対象にした特定製品の研究です。すべての保湿剤や顔の肌に同じ結果を保証しません。企業所属著者・企業との利害関係があります。
二周波超音波の研究:26名の小規模試験
2021年の研究では、酒さやニキビに伴う顔の赤みがある26名に、週1回・4週間の超音波施術を行いました。6週時点で、赤みと経皮水分蒸散量の指標の改善が報告されています。[6]
限界:対照群のない短期間の研究です。測定した水分関連指標は主にTEWLであり、肌水分量の%ではありません。当院のBright Sonoの効果を直接証明する研究としては扱えません。
研究を見るときは、「何を測ったか」「どの製品・機器を使ったか」「比較対象があるか」を確認することが重要です。水分、赤み、弾力は、それぞれ別の評価項目です。
本項は学術的な参考情報です。施術や製品による変化には個人差があり、当院での結果を保証するものではありません。
7. 美容医療の位置づけと、当院のBright Sonoについて
肌の水分量を上げるために、施術が必須とは限りません
乾燥の原因が洗いすぎ、化粧品の刺激、保湿不足、皮膚炎などであれば、その原因への対応を優先します。スキンケアや必要な診療を行っても残る美容上のお悩みについて、施術を追加するか検討します。
超音波ケアの一般的な説明
超音波を用いた美容施術には、出力、周波数、エネルギーの与え方、目的が異なる機器があります。「超音波」という名称が同じでも、同じ作用やリスクを持つわけではありません。
LDMと呼ばれる機器・技術に関する情報を読む場合も、別機器のデータをそのまま当てはめないことが大切です。
当院機器はBright Sonoです
当院では、水滴リフティングの機器としてBright Sonoをご案内しています。多重周波超音波のSONO機能とHIFU機能を備える機器ですが、Bright SonoとLDMは同一機種ではありません。
また、SONOによるケアと、焦点を合わせてエネルギーを与えるHIFUは目的やリスクが異なります。乾燥の相談だからといって、HIFUの追加が必要になるわけではありません。
施術のリスクと確認事項
超音波施術では赤み、熱感、痛みなど、使用する機能によってはやけどや神経への影響などにも注意が必要です。ジェルや併用製品によるかぶれの可能性もあります。
妊娠・授乳、ペースメーカーなどの医療機器、治療部位の金属・インプラント、傷、感染、皮膚疾患、最近のレーザー・注入施術などを申告してください。施術可能な部位と条件は、機器の仕様と医師の判断に従います。
単独施術とHIFUを含むセットでは内容・料金が異なります。セット料金を「保湿ケアだけの料金」として比較せず、予約時に内容と総額をご確認ください。
8. 診察が必要な症状と、当院の相談方法
保湿をしても強いかゆみや赤みが続く、ひび割れや出血がある、化粧品がしみる、じゅくじゅくするなどの症状は、乾燥だけで説明できない場合があります。美容施術を追加する前に、医師へご相談ください。[1]
皮膚科医カウンセリング
乾燥、かゆみ、赤み、かぶれなどの肌症状をご相談いただきます。
3,000円(税込)
カウンセリングのみの場合。同日に施術・処方がある場合は無料です。
ご来院時は、使用中の洗顔料・保湿剤・美容液・外用薬の名称と、乾燥を感じ始めた時期をお伝えください。施術をご希望の場合も、内容・費用・リスクの説明を受けてからご検討いただけます。
美容目的の施術は自由診療です。料金は変更になる場合があります。実施内容やオプションを含む費用は、施術前にご確認ください。
美容皮膚科ティファクリニック 横浜院
〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1-1-8 エキニア横浜7F 705-2
診療時間:10:00〜19:00(最終受付18:30)
営業日:月・水・金・土・日
電話:045-509-1932
臨時休診などは公式サイトでご確認ください。
9. 肌の水分量についてよくある質問
Q1. 肌の水分量は何%あれば理想ですか?
機器の種類や測定条件によって表示の意味が異なるため、一律の数字だけでは判断できません。同じ機器で条件をそろえ、乾燥感や赤みなどと合わせて確認しましょう。
Q2. 化粧水を何度も重ねると水分量は上がりますか?
塗布直後の状態は変わっても、何度も重ねれば長く保湿できるとは限りません。乾燥が続く場合は、乳液やクリームを含めた製品全体と、洗顔の刺激を見直してください。
Q3. 皮脂が多いのに水分が少ないことはありますか?
あります。皮脂と角層の水分は別の要素です。テカリだけで保湿をやめず、部位に合った使用感の製品で調整しましょう。
Q4. セラミドとヒアルロン酸は、どちらがよいですか?
役割が異なり、単純な優劣では選べません。配合成分だけでなく、製品全体の処方、刺激の有無、使い続けやすさで判断します。
Q5. 毎日シートマスクを使う必要はありますか?
必須ではありません。基本の保湿で対応できる場合もあります。使用する場合は製品の使用時間を守り、赤みやかゆみが出る場合は使用をやめてご相談ください。
Q6. 1日に水を2リットル追加して飲むべきですか?
全員に一律の追加量を勧めるものではありません。食事・活動量・気候・持病によって必要な量は異なります。飲水だけで乾燥肌を改善しようとしないことが大切です。
Q7. 加湿器を使えば保湿剤は不要になりますか?
室内環境と肌の保湿は別の対策です。加湿器を使う場合も、肌状態に応じた保湿を続け、機器は清潔に管理してください。
Q8. 肌の水分量が低いと毛穴洗浄を受けたほうがよいですか?
水分量の数値が低いことだけで、毛穴洗浄の適応にはなりません。乾燥や刺激が強い場合は、洗浄より保湿や皮膚炎への対応を優先することがあります。
Q9. LDMとBright Sonoは同じものですか?
同一機種ではありません。いずれも超音波に関連する情報として紹介されることがありますが、周波数、制御、出力、使用目的などを区別して確認する必要があります。
Q10. 保湿を始めて、どれくらいで判断すればよいですか?
塗布直後のうるおい感と、乾燥や皮膚炎の経過は別です。数値だけでなく、日中のつっぱりや刺激の変化も見ます。悪化する場合や、かゆみ・赤みが続く場合は、期間を決めて我慢せずご相談ください。
10. まとめ|肌の水分量は、数字より「保てる状態」を重視
肌のうるおいを考えるときは、水分を補うだけでなく、洗いすぎや刺激を減らし、水分を保持しやすい状態を整えることが大切です。
水分計は日常の変化を見る参考になりますが、すべての機器に共通する理想の数値があるわけではありません。保湿してもつらい乾燥、赤み、かゆみが続く場合は、施術を増やす前に原因を確認しましょう。
参考資料
- American Academy of Dermatology:Dermatologists' top tips for relieving dry skin.
- American Academy of Dermatology:How to select a moisturizer.
- Barel AO, Clarys P. In vitro calibration of the capacitance method and conductance method for the evaluation of the hydration state of the skin. Skin Research and Technology. 1997.
- Nisbet SJ, et al. Single application of lamellar moisturizers provides significantly increased hydration of the stratum corneum for up to 24 hours in a randomized trial. 2020. PMID:32167240.
- Palma L, et al. Dietary water affects human skin hydration and biomechanics. 2015. PMID:26345226.
- Kim YJ, et al. The Efficacy and Safety of Dual-Frequency Ultrasound for Improving Skin Hydration and Erythema in Patients with Rosacea and Acne. 2021. PMID:33670631.
- 当院:Bright Sonoの機器紹介 / 公式メニュー・料金表
